HADOのフォーカス合わせについて

オフシーズンということで、久しぶりにHADOコラムです。

カメラについて

本題であるフォーカス合わせの話の前に、前提としてカメラとピントの話をすこしします。

HADOはiPhoneのカメラを使用しています。

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この写真を見てわかるように、カメラというのは、基本的には距離にある程度差がある2つ以上のものに同時にピントを合わせることはできません。

ですので、たとえばHADOにおいて急に目の前に人が通ったりして、ピントがその人に対して合ってしまうと、マーカーがボケてしまって、MARKER UNDETECTEDの警告が出てしまう危険があるわけです。
(でもこのくらいだとMARKER UNDETECTED出ないですね。優秀。)

しかしなるべくならその危険性を減らしたいということで、今のHADOにはフォーカス自動ロック機能があります。

フォーカス自動ロック機能について

端的に言えば、「試合開始タイミングのピントで固定する」機能です。

準備中は試し打ちしたり前後に移動したり、任意に移動するタイミングがあるので、特定のピントで固定することは難しいです。
しかし、試合を開始してカウントダウンするタイミングなら、流石に全プレイヤーがクリアな視界を保っていると考え、カウントが始まったタイミングでフォーカスを固定する機能が、HADOには搭載されています。

ですので、特にアカデミーを卒業した方は、「試合開始時にはまっすぐ前を見てください」と、耳にタコができるほど聞かされていると思います。これは非常に大切な「儀式」なのです。

一部の例外

ところが、この機能を追加して万事解決というわけにはいきません。試合開始時に正面を向いていない場合があるからです。

f:id:izugch73:20200831173140p:plain:w600(写真は一例です)

で、このタイミングでフォーカスをロックしてしまうと、大変なことになってしまいます。

これを「そういうルール」としても良かったんですが、よくよく考えれば試合開始時に正面を向かなければならないというルールもおかしい話だし、試合開始時にロックするという仕組みも完璧ではありません。
ヨッシャアヤッタルデエとか言いながら手を構えたらたまたまその腕にピントが合ってしまいボケボケになったりとか、すこし頭を振ってしまって意図しない場所にフォーカスロックしてしまったなど、事故はやはりどうしても起きてしまいます。

ということで、確実に任意の場所でロックできる、という機能を追加する必要がありました。

フォーカスロック機能

そこで生まれたのがこの「フォーカスロック機能」です。

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このボタンを押すと、HADOゴーグルのUIがフォーカス合わせモードになります。

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この状態で任意のピントに合わせ、もう一度アームデバイスをタップします(どこでもいいです)。

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すると、カメラが再起動するまでは、ピントが一切固定されます。試合開始時のフォーカス自動ロックも起きません。
この機能をうまく使っていただくことで、試合中にピンボケを原因とするMARKER UNDETECTEDが起こる可能性を極力低くすることができます。

課題

毎回やるのがすごい面倒くさい

初心者であるうちはさほど問題にならないので、少なくとも体験会ではこの機能について教えることはないと思います。
アカデミーでは教えてる?のかな?聞かれたら答えているかもしれません。まぁ、アカデミーレベルでは正直必要ないかと思います。正面を向けと言っているので、それを遵守していれば問題ありません。

問題ありません、といっておいてなんですが、機械ですので、調子悪いときもあります。たまになにもないのにボケボケで固定されることも、なくはありません。
このフォーカスロックは試合開始前に固定できるので、そういった偶発的な事故もなくすことができます。

一応、毎回やってもらう腹づもりで開発していますが、都度都度やる必要がある面倒臭さも相まって、実際に毎回やっている人というのはホントに一握りなのかもしれません。
気持ち的には、せめて大会くらいはやっておいていただけると、思わぬ事故も減るしうれしいな、という感じです。


少し開発の事情的な話をすると、iPhoneのカメラは「特定のピントで固定する」ことができません。
どういうことかというと、「オートフォーカスする」か、「オートフォーカスをやめる」の2択しかないのです。

例えばカメラ起動時に「10mくらいのピントにしておく」ことができればこんな機能いらないのですが、あくまでオートフォーカスON/OFFの切替のみが許されています。
ゆえに準備中はオートフォーカスON、試合開始時にOFFにする、程度の対応が関の山ということで、このような作りになっています。
フォーカスロック機能というのはその大層な名前のわりに、ただただオートフォーカスを切っているだけというシンプルな所作ということです。

小ネタ

iPhoneのカメラで撮った写真の詳細です。焦点距離3.99mm、F1.8とあります。 f:id:izugch73:20200831180838p:plain:w400

1.8/3.99で、被写体が10m先(つまり後衛からマーカーを見たとき)の被写界深度(ピントが合う範囲)ですが、手前9.7mから無限遠となっています。

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要は、10mも先のものにピント合わせてるときは、30cmも離れればだいたいピントがあってみえる、ということです。 f:id:izugch73:20200831184341j:plain:w400

フォーカス固定するときは、センターラインの近くというよりは、距離をとったほうが、安定するかもしれません。

おわり

試合開始時は正面を向いてください。